第十七話「司る」…森で休憩している一同…チョコ「…怪我、大丈夫?サンダー。」 サンダー「ヘーキだよ、チョコモン。」 ゲンキ「…ところでさ、サンダー。…サンダー、どうやってチャッキーから鍵を取ったんだ?」 サンダー「ん?…あぁ、アレ?…ベツに、そんな難しい事でもないよ。…だって、アイツから掏っただけだし。」 一同「掏った?!」 グミ&アメ「やっぱり;」 サンダー「…掏るのとか盗むのとかダメだ、って言われたけどさ、あー言うのだったら、ベツにいいだろ?掏ったりしたって。」 サンダーは、ニッと笑って言った。 オルト「お前な;…それ、長老に何回も怒られたろ?まだ懲りてなかったのかよ。」 サンダー「…そりゃ…確かに怒られたけどさ~。」 サンダーは、笑いながら言った。 ゲンキ「…オルト、長老って…誰だ?」 オルト「あぁ、オレが昔住んでた、ケルベロスの里の長老。」 チョコ「…サンダーって、魔界にいた頃も掏りやってたんだ;」 サンダー「うん。…だって、面白いじゃん。…モノを掏るとさ、その掏られた奴が、しばらくした後で、それに気付いて驚くんだよ~?」 グミ「そりゃ驚くに決まってるじゃんか~。…いままで持ってたハズのモノが無くなるんだからさ~。」 アメ「ま、確かに、掏るのも、驚く奴の顔も、面白いとは思うけどな。」 グミモンとアメモンは、溜息まじりに言った。 サンダー「な、面白いだろ?」 サンダーは、アメモンのほうを向いて、笑顔で言った。 オルト「…あのなぁ、サンダー…。」 オルトは、そんなサンダーの後ろで、呆れたように言った。 サンダー「……なんだよ。…オルトロスだって、昔は一緒に笑ってたじゃんか。」 サンダーは、オルトのほうを向かずに言った。 オルト「・・・・・・・昔と今は違う。」 サンダー「…なんだよ…オルトロスまで………何でオルトロスまで、グレイと同じ事言うのさ!」 オルト「本当の事だろ?」 サンダー「・・・・・・・・っ・・・。」 サンダーは、何か言おうとしたが、何も浮かばないようで、そのまま、逃げ出すように、その場から走り出し、森の中へ入って行った。 ホリィ&ニナ「サンダー!!」 オルト「…サンダーだって分かってるくせに。……逃げてんなよな。…未来なんだから。」 オルトは、走っていくサンダーを見ながら、ポツリと呟いた。 チョコ「……大丈夫かなぁ、サンダー。…独りで。……怪我だってしてるのに...。」 アメ「ヘーキだろ。…走ってった姿から見ても、元気そのものだったし。」 グミ「…オルト~、追いかけなくていいの~?」 オルト「・・・・・・・・・・・・・・。」 …そしてその頃、サンダーは走っていた。…全速力で。…しかし、しばらくして息切れしてしまい、そのまま立ち止まった。 サンダー「…何だよ…オルトロス……何で…。」 すると、サンダーの目から、何かが零れ落ちた。…涙だ。 サンダー「…みんな…変わっていくんだ…グレイも、ギンギにいちゃんも、オルトも…みんな…おれを残して……変わっていく…。」 サンダーは、泣きながら、そう言った。 「…それは、オレも思ったよ。」 不意に、後ろから声がした。 サンダー「……何だよ、オルトロス。」 …そう。後ろから声をかけてきたのは、オルトだった。 オルト「…オレを残して変わっていくんだって、それはオレも思ったよ。……お前と、久々に会って、バトルした日に。」 サンダー「…オルトロスも…?」 オルト「そ。…お前さ、昔は防御するばっかだったろ?…なのに、ちゃんと攻撃もしててさ。…しかも、グレイはワルモンになってるっつーし。…ホント、変わってないのはオレだけだな…って思ってさ。」 サンダー「…そっか…じゃあ、そう言うこと考えてんの、おれだけじゃなかったんだ…。」 オルト「そう言うこと。…多分、グレイも同じこと思ってると思うぜ。」 サンダー「…そう…だね。…うん、思ってるよね。」 オルト「…さ、そろそろ戻ろうぜ、サンダー。…皆が心配してるだろうしさ。」 サンダー「うん。」 サンダーがそう言うと、オルトはニッコリと笑って、2人は皆の元へ戻って行った。 チョコ「あ!サンダー!お帰り~。…大丈夫?走ったりして、傷口とか開かなかった?」 サンダー「ヘーキだよ、チョコモン。…それに、このぐらいの傷なら、すぐ治るよ。」 チョコ「…なら、良いんだけど…。」 アメ「…ケドさ、結構傷深いだろ?…そんなにすぐ治るのか?」 サンダー「ヘーキだよ。…それに、今日は満月だし。…月の光を浴びれば、どんな傷だってすぐに治るよ♪」 サンダーは笑顔で言った。 ゲンキ「…そう言えばさ、ずっと不思議だったんだけどさ…“未来”って、どういう意味だ?…前、アメモンがサンダーのことそう言ってたし、今日だってオルトが…。」 アメ「あぁ、それ?…アレは、未来を司る者って意味。」 ホリィ「…未来を…つかさどる?」 サンダー「そうだよ。…おれはさ、タイムネットの世界で、未来を守ってたんだ。…んで、グレイが過去を守ってたんだ。…だから、おれが未来で、グレイが過去って呼ばれてるんだよ。」 ニナ「……サンダーは、未来だから、未来予知ができるの?」 サンダー「そうだよ。」 ニナ「…じゃあ、グレイは、過去を知る事ができるの?」 サンダー「そう。…グレイはさ、他人の記憶を読み取る事ができる、“過去察知”ができるんだ。…でも、あんま良い感じのもんじゃないから、グレイはあんまし使わないって言ってたけどね。」 ゲンキ「へ~、そうなんだ。」 ホリィ「…確かに、他人の過去を探るのなんて、良い感じのする物じゃないものね。」 グミ「そ~だね~。…ま~、その人にとって~、知られたくない過去とかもあるかもしれないしね~。」 グミモンは、ニッコリとしながら言った。 サンダー「…でもさ、グレイの過去察知、おれの未来予知と違って、完璧なんだよ。…その人が経験した事なら、その人が覚えてなくても知る事ができるんだよ。…例えば、生まれてすぐの事…とかさ。」 グミ「へ~、じゃ~すごいんだ~。」 サンダー「うん。」 ホリィ「…サンダーは、本当にグレイの事が大好きなのね。」 サンダー「……え?」 ホリィ「だってサンダー、グレイの事を話すとき、とっても嬉しそうに話すもの。」 サンダー「…そう?……そっか。…うん、グレイの事は大好きだよv…だって、グレイはおれのお兄ちゃんだもんvv」 サンダーは、嬉しそうに笑って言った。…そんなサンダーを見て、一同は少し心が和んだ。 ジャンル別一覧
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